ノーベル化学賞

 は、不斉有機触媒。

 原子の組成は同じでも構造が違う物質を「異性体」といって、中でも、右手と左手のように、鏡に映したように対称的だけど、互いに重ね合わせることができないものを「鏡像異性体」という。
 鏡像異性体どうしは互いに生理活性が異なっていることが多くて、たとえば今回のノーベル賞発表で引かれていた例でいうと、S-リモネンはレモンの香りがするけど、R-リモネンはオレンジの香りがするらしい[1] … Continue reading。薬効成分でいうと、鏡像異性体のうち片方だけに鎮痛作用がある物質も多い。
 たいていの物質は、普通に作ると両方の鏡像異性体が混ざったものができてしまい、半分は有効成分、半分は不純物(下手すると毒物)、みたいになってしまいがち。となると、ほしい方の鏡像異性体だけ作る方法があったら嬉しくて、これを不斉合成という。
 
 今回のノーベル化学賞は、この不斉合成を行うための触媒(化学反応の進行に影響するけど、最終的な反応産物には含まれない物質)のうち、金属を含まない「不斉有機触媒」の開発に与えられた。

 実は、触媒による不斉合成については、2001年に野依良治博士らに対して、既にノーベル化学賞が授与されている。こちらの触媒は無機触媒。
 では、有機触媒の開発を対象とした今回の賞の意義は? ということになるのだけど、おそらく、金属を含まないので環境負荷が低いとか、いろんな形の触媒を設計しやすいから新しい分子を作る幅が広がるとか、そういうところなのかな、と推察している。専門家の解説をまちたい。

 今日の昼は、Kit Oisixでごぼうと豚肉のねぎ塩レモンだれ、水菜とトマトとツナのサラダ。
 今日の夜は、キャベツと鮭とエリンギのめんつゆバター蒸し(電鍋)、豆腐とわかめの味噌汁。