読んだものとか見たものとか

  • 同志がひとつの家に住むということ

     萩尾望都先生『一度きりの大泉の話』読んだ。

     身を切るような独白の悲しみと切なさに、何度も喉が詰まるような思いがした。
     竹宮惠子先生の『少年の名はジルベール』と併せて読むと、まるで高村光太郎・智恵子夫妻のようではないかと思った。

     芸術の同志がひとつ屋根の下に住むということはほんとうに難しい。
     わたしの両親はどちらも音楽家だが、ひとりはプロの演奏家で、ひとりは教師になった。
     その間に生まれたわたしが音楽の道に進んでみたいと言ったときには、家の中が修羅場になるからやめろと断念させられた。納得はしていないが、親の気持ちは非常によくわかる[1] … Continue reading

     芸術に限らず、同じ分野で同じ仕事をしている者どうしが同じ空間で暮らすことは非常に難しい。
      分野:同じ、仕事:別、居住空間:同じ
      分野:同じ、仕事:同じ、居住空間:別
      分野:別、仕事:同じ、居住空間:同じ
     みたいに、どこかの要素をずらして、ようやく平和に息ができるようになる、みたいなところがある。

     同じ/近い分野で同じ志を持つ他人どうしの共同生活が、どれだけ繊細で微妙なバランスの上に成り立っていることか。
     他人から見たらささいかもしれない場面の数々に、互いに譲れない決定的な選択肢の分岐があって、そこを過ぎるともうどうにも戻れなくなってしまう。
     あそこでああしていればよかったのに、などと言う資格のある人はこの世のどこにもいないだろう。

     萩尾望都先生と竹宮惠子先生のお二方とも大好きだ、というファンはたくさんいると思うし、わたしもそのひとりだけど、自分の気持ちがやるせないからといって、安易にお二方に仲直りをしてほしいなどと言っても、願ってもいけないと、それだけはわかる。

    References
    1うまくやっている芸術一家はもちろんたくさんある。しかし子供が育てるに値するかどうかの判断はどこも厳しいはずだ。わたしの場合、単にそこまでの能力がない、それができるように育てるほどの価値もないと見限られたのだと思う。そして、わたしがどう感じようがその判断は正しかった。
  • アカデミー賞

    『ノマドランド』が主演女優賞、監督賞、作品賞でオスカー。
    これは納得の結果[1]映画2つ – Going Pollyanna

    不思議な授賞式だった。
    「白すぎるオスカー」への抵抗を激しく示すように、白人以外の俳優・監督や作品への評価が際立った一方で、主演男優賞の発表(その場にすらいなかったサー・アンソニー・ホプキンスへの授与)の混乱はなんとも慌ただしく奇妙だった。
    これが、今のアメリカエンタメ界ならではの「バランス」の取り方なんだろうか。

  • 2021/04/18

     競馬まったく知らなかったけど、ウマ娘(金曜日にダウンロードしたばかり)を育てて一日遊んでしまった。

    バクシンバクシン!

     これ楽しいんじゃない?? と気づいたときにはリアル皐月賞が終わっていたという体たらく。自堕落。

     ダイ大、ラーハルト vs. ヒュンケル回かっこよかった。あれだけ長い回想を一気に引き込んで聞かせるのはやっぱり石田さんすごいなあ。
     すさまじい感情の揺れ動きからの、ヒュンケル反撃直前の渾身ハーケンディストール痺れた。来週も見なくては。
     OPのマカロニえんぴつ「生きるをする」が大好きで、今期もこのOPでとても嬉しい。

    くすぶるのは ちゃんと燃えたからだ

     明日からもお仕事がんばろう。重いけどどれも大切。しっかり書くぞ。

     今日は一斉排水管清掃があった。
     もう10年以上住んでる集合住宅は、広くてびっくりするほど安いけど、これまたびっくりするほど古い賃貸で、ちょいちょい(しばしば)(かなりあちこち)ガタが来てるなあと思っていたが、ついに高圧排水管洗浄が来てくれることになったのである。
     あちこち流れがよくなってとても快適。ありがたい。

     夜はまたしても塩豚ポトフ。キャベツが安くておいしいからね。しかたないね。
     ちなみに昨日の夜は、映画帰りで遅くなったので、水菜と豚ロース薄切りの鍋でささっと。

  • 劇場版コナン 緋色の弾丸

    子供と見た。超電導の科学いっぱい出てきて楽しかった!

     

  • 2021/04/15

     今日は一日いい天気。気温は低め。
     お昼はサバのチーズパン粉焼きと、ナスとピーマンのケチャップソース炒め。
     (意図せず脚韻的なものを踏んでしまった)

     もう4月が半分過ぎた。ゴールデンウィークが見えてきたので、仕事を巻き巻きで進めないと大変だ。

     仕事をこれだけいただけるのはとてもありがたいことだけれど、頑張って頑張ってようやく休暇を迎えても、また「我慢の大型連休」ステイホームになるのかと思うと、ちょっとやりきれない。

     心の支えはアニメや映画や本や音楽だが、ひとさまの創作物をただ消費し続けているのもつらいものがある。何かを生み出す活動をしたいのだ、仕事とは別に。ほっぽってあるギターとか、久しぶりに取り出してみようかしらと思うくらい。やたらこの日記を書いてるのも、その衝動から来てるのかもしれない。ちょこちょこ続けてる別の創作活動もあるけど、それについてはまたいずれ。

     今期新しく始まるアニメはあまりにもたくさんありすぎて事前にチェックしきれず、ましろのおと、MARS RED、極主夫道くらいしか追いつけていない。

     ましろのおとは、その命である音楽にものすごく力を入れて作られているのがよくわかる。第一話のじょんがらで泣き、第二話の津軽小原節と「アレ」で泣き、澤村兄弟の息の合ったかけ声にしびれ、まんまと三味線弾きたくなっている。

     MARS RED、とても好きな雰囲気の作品で楽しく見てるけど、これは見る人を選ぶかもなあ。ちょっとモノノ怪とかを思い起こさせる絵で、場面転換が舞台っぽい仕掛けだったりするのも楽しい。

     極主夫道はもうツダケンさん無双なんだけど、ほかの声優さんたちもとにかく豪華ですごい。ペープサートみたいなアニメーションが妙にハマって、うまいことできてるなー、と一気に5回分(現在配信されてる分)見てしまった。

     ドラマは、イチケイのカラス、大豆田とわ子と三人の元夫を見ている[1]恋はDEEPにも見た。石原さとみさんかわいくて美しくておもしろくて最高。一途で変わった専門を持つヒロインがほんとにハマるなあ。。この感想もまたいずれ。

     明日は金曜日。生きよう。生きねば。

    References
    1恋はDEEPにも見た。石原さとみさんかわいくて美しくておもしろくて最高。一途で変わった専門を持つヒロインがほんとにハマるなあ。
  • 2021/04/14

     在宅勤務。一日じゅう雨で、冷え冷えした水曜日だった。

     昼(外出民のお弁当含む)は、鮭の西京漬焼きと、小松菜と油揚げのオイスターマヨ炒め。銀魂アニメ見ながら食べた。わたしが桂回ばかり見るので、大事なエピソードかつあまり桂が出てこない話をいくつか把握できていないと子供にときどき文句を言われるのだが[1] … Continue reading、うちには原作全巻揃ってるので、申し訳ないがそちらで追いついてもらいたい。
     ちなみに昨日の昼は、豚肉の生姜焼きと、しめじとアスパラの煮浸しおかか和え。

     もうすぐ劇場版コナンが公開になる。これは子供と見に行く予定だけど、新型コロナ感染拡大が心配。
     東京はまだそれほど増加ペースが早くないが、大阪を中心として近畿地方は大変なことになっている[2]大阪府 新型コロナ 過去最多の1130人感染確認 2日連続1000人超 | 新型コロナ 国内感染者数 | NHKニュース[3]兵庫県、過去最多となる507人の感染を発表 新型コロナ|総合|神戸新聞NEXT。東京の新規陽性者数の直近7日間移動平均も既に497.1人と、500人に迫っている。
     座席数を間引いている劇場を選んで、外食なしの直行直帰で見るかな。

     今日発売のコナン99巻はあとでゆっくり読むとして、今週のサンデーをとりいそぎ読んだ。灰原哀ちゃん大好きなので、新章の展開楽しみ。
     葬送のフリーレンで、フリーレンが食べてた山盛りステーキ超おいしそう……。ルフィの骨のついた肉のやつくらいうらやましい。肉。肉が食べたい。ひとさまがわたしのために調理してくれた肉が。
     魔王城でおやすみのマザーくん、「部屋を出る前にハードルがあるタイプ」わかりすぎるな……。ところで、アニメ2期はやってくれるかな。やってくれるといいな。ゼウスくんは石田さんだと嬉しい。
     

    References
    1桂のいない大事なエピソードなどというものがあるのかどうか、わたしにはわからないが。見えなくてもきっとどこかでスタンバってると思うし。見えぬけれどもいるんだよ。
    2大阪府 新型コロナ 過去最多の1130人感染確認 2日連続1000人超 | 新型コロナ 国内感染者数 | NHKニュース
    3兵庫県、過去最多となる507人の感染を発表 新型コロナ|総合|神戸新聞NEXT
  • 映画2つ

    ノマドランド

    I’m not homeless, I’m just houseless.

     2008年アメリカの経済恐慌で、住む場所を町ごと失った60代の女性・ファーンは、愛車のRVを我が家として、季節労働を渡り歩きながら生きていくことにした。抱える事情は違えど同じように車上生活を送る人々(ノマド)と、ファーンの日々を描くロードムービー。

     目的地も終わりもない巡礼のようだと思った。

     高齢者の車上生活にはもちろん数多くの苦難が伴うし、痛々しく見える瞬間がたびたび訪れるけど、ファーンたちノマドになまぬるい同情や憐憫の視線を向けることはできない。
     開拓時代から続くノマドランドたるアメリカの人たちが、何かを、自分の生き方を「選択する」ということの意味を、つまり、その誇りと責任とそれが社会構造に及ぼす影響とを、わたしは何もわかっていなかった。

     ファーンを演じるフランシス・マクドーマンドの叡智に満ちた瞳と、慕い寄りたくなるようなしなやかで逞しい身体がとても美しかった。

     映像はもちろん、音楽がほんとうに美しくて、帰宅してすぐ、サウンドトラックをダウンロード。 

    シン・エヴァンゲリオン劇場版:||

     ロボットアニメ[1]公式にロボットアニメということになったっぽいので。「エヴァってロボットアニメなんですよ」 庵野秀明さんの発言、ファンに衝撃を与える | … Continue readingを楽しみたいぞの一心で4DXで見て大正解だった(と思う。ほかの上映方式を見てないから比べられないけど)。
     冒頭のパリ戦もクライマックスのヤマト作戦も、もうわたしそこにいるよね? くらいの勢いで揺さぶられて楽しかった。LCLもびっしゃびしゃ浴びたしね(つらいLCLもあったけど)。

     ストーリーは諸々解決していろいろ理解できたのかなと思う。かならずしも納得ではないにせよ。
     でもこれは、絶望的にも見える円環を抜けたその先の未来への意志と、希望のメッセージなのだと受け取った。
     

  • がっつりのんびり

     たくさん寝て、たくさん本とか雑誌とかを読んだ。

     文藝夏季号、藤野可織さんの新連載『先輩狩り』、いきなりトップスピードでおもしろい。
     あいかわらず、思春期の女の子たちと、かつて思春期の女の子だった女性を、ヒリヒリする鮮烈さで描くのが最高にうまい。『ピエタとトランジ』好きな人は絶対好きな作品だと思う。

  • カズオ・イシグロ『クララとお日さま』

     読んだ。こんなに美しくて切ない祈りの物語があるだろうか。

  • 文學界5月号

     子供が本屋さんに行くと言うので、これ幸いと頼んで買ってきてもらった。

     もうずいぶん長いこと、ネットでやりとりさせてもらってる平民金子さんの新連載「めしとまち」始まった。うちにぬか漬けがあるタイミングで読んでよかったぜ。
     『ごろごろ、神戸。』が大好きで、折に触れて読み返しているせいか、ああ、ここ知ってる、みたいに勝手に風景が目に浮かんでしまう。次回も楽しみ。

     アマンダ・ゴーマン「わたしたちの登る丘」。
     原詩と、鴻巣友季子さんの美しい翻訳を、対訳でじっくり読める。鴻巣さんの詳細な解説でさらにじっくり味読できてありがたい。

     それにしても最近は文芸誌がどれも充実していて、お財布と収納がたいへん。