読んだものとか見たものとか

  • ONE PIECE

    ここしばらくのONE PIECEがとにかく熱くて、毎週ジャンプが楽しみ。
    これまでの膨大なエピソードというエピソードがすべて、ひとつの大きな物語にすごい勢いで流れ込んでいきそう。

    アニメの方もまた見ているが、いつからこんなすごい作画になったの……。赤鞘の討入り回とか最高だった。
    ワノ国編は最初からテンポもいいし、難しい話の見せ方もとてもうまい。

    アニメでは前回、ルフィがカイドウに負け、今は海の底に沈みつつあるところなので、今日の予告ナレーションはキッドが担当。「海賊王には俺がなる!」って言ってたのがかわいかった。

  • 暑い

    明日は真夏日ですってさ。

    ここのところ仕事と勉強ばっかりしててシン・ウルトラマンも見に行けないので、なんとなく実相寺監督の昔の映画を配信で見たりとかしていた。だいたいがR指定なので、子供が塾に行ってる夜に。

    愛国ユートピアカルトが学生運動家たちをオルグしようとする『曼荼羅』、めちゃくちゃ変な映画でおもしろかった。
    革命とユートピアカルトがバトルしながらいずれも破滅に向かうとか、ジャンプ+でやったらバズりそう。議論のシーンが三島 vs 東大全共闘を彷彿とさせる。

    言葉、言葉、言葉や。それは、言い換えたら、時間をなくすために時間を信じるふりをすると言うことかもしれんが、俺はもうそんなふりするのはいやなんや

    我々は、バリケードの中でつかの間のコンミューンを持った。なあ

    変革とは時を止めることや。俺はそのとき悟るところがあった。時よ止まれということは、死よ来たれということや

    ヒーロー特撮でもよく見るような映像や音の表現が随所に登場するのも楽しい。

    真田広之が偏執狂的な贋作師を演じた『D坂の殺人事件』。D坂要素より心理試験要素の方が断然多かった。心理試験の蕗屋は日本版ラスコーリニコフで、そこが魅力だと思ってる派としては、やや中途半端な印象。でも、ポップアップのペーパー模型で場面転換を演出するのとか斬新。たとえばアニメ『モノノ怪』に影響を与えてたりしないだろうか。

  • おでけけ

     金曜日は午後に保護者会だったので、えいやと一日休暇をいただいた。

     午前中は、もうすぐ改装のために閉店する神保町三省堂へ。文具等の半額セール目当てだったけど、いろんな作家さんや著名人の選書コーナーなどのフェアがてんこ盛りで、あっという間に時間が溶けた。
     50%オフグッズは、創業140周年記念(去年)の有山達也さんデザイントートバッグ、
     選書コーナーからは、皆川博子さん選書の『ヒュパティア:後期ローマ帝国の女性知識人』、
     古書コーナーで、岩波文庫『寒村自伝』、
     いまさらながら野矢茂樹先生の『新版 論理トレーニング』
     など買った。

     軽くお昼食べて上野に移動し、科学博物館で宝石展。子供が展示開始当初にひとりで行って激混みだったと言っていたが、そこまでではなかったかも。でも平日昼間の割にはけっこうな人出。
     原石が生まれる場所の違い(火成岩、熱水脈、ペグマタイト、変成岩)から説き起こしていくの、とてもいい。
     鉱物のおもしろさと、宝石を愛する技術や文化のおもしろさのバランスがよかった。

     黄鉄鉱を磨くとめちゃくちゃきらきら輝くので、稀少な宝石のようにアクセサリーとして使われていたらしい。

     ちょっと下に見てて申し訳なかった。

     どうせ図録買うしと思って、写真はあまり撮っていないが、やっぱりフォスは撮らないとね。
     

  • 『失楽園』とか『愛の流刑地』とか

     今さら読んでみたという話。

     少し前に、日経新聞が漫画『月曜日のたわわ』の全面広告を出した件でネットが燃えさかっていた。[1]「月曜日のたわわ」全面広告が日本経済新聞に「不安を吹き飛ばし、元気になってもらうため」(コメントあり)[2] … Continue reading
     そのときにTwitterで、日経新聞は『失楽園』とかを堂々と掲載してたから通常運転じゃん、みたいな意見をちらりと見かけて、そういえばあれだけ社会現象になったのにまだ読んでなかったな、と急遽『失楽園』を読んでみることにしたのだ。

     小学生のころ、家にあった週刊朝日で連載されていた『桜の樹の下で』を盗み読みして、この渡辺淳一という人のはなんか読んじゃいけないやつだ……と思った(でもときどきこっそり読んだ)記憶がある。それ以来の渡辺淳一。

     文章が美しくてわかりやすい上に、エピソードが華麗に次々展開するので、するする一気に読める。ラブシーンは、だいたい女性が書いたものの方がわたしはどきどきするのだけど、男性の書き手の中では好きな方だと思う。とはいえ、ところどころハウツー本みたいに、どこをどうしたら女の人が喜ぶ、みたいな蘊蓄が挟まるので、そこが興醒めではあった。そういう蘊蓄とか、デートはどうセッティングするといいかとか、おしゃれでおいしいものと言えば何かとかみたいな実用的な側面も、当時の男性読者には受けたんだろうか。しかし、これを読んで真似したら、相手の女性が同じく読者だった場合にネタ元がお察しになってしまう危険性もあるのでは。
     いちばんびっくりしたのは主人公の久木(くき)が、閑職に追いやられたという設定にもかかわらず、月に100万円程度の収入があるということ。えっ、なにそれ、わたしもそれになりたい。

     ついでに、『失楽園』(1995年連載開始)の9年後に、やはり日経新聞で連載されて話題になった『愛の流刑地』(2004年連載開始)も読んでみた。
     こちらでは、主人公の菊治の月収が、自由業とはいえおよそ50万円と久木の半分に減っていて、バブル崩壊後の失われた20年の重みを感じる。
     文章の美しさも切れ味も『失楽園』と比べるとだいぶ鈍ってきていて、最初はコミカル路線を狙っているのかなとすら思ったくらい。「今まさに二人は合体している」って釣りバカ日誌かな。

     時代を感じたのは、主人公と相手の女性が携帯でメールを打ち合うシーン。

     「君のご主人がどんな人でも、僕は君を愛している。誰よりも冬香が好き」
     そのあとに、ハートマークを三つつけて送ると、すぐ冬香から返事がくる。
     「わたしもです。もう少しでそちらへ行きますから、忘れないでいてくださいね」
     そこにも、ハートマークと笑顔がついていて、菊治はようやく安堵する。

     いわゆる「おじさん構文」のひとつの源流を見た気がした(ちなみに菊治は45歳、冬香は36歳)。

     恋愛パートはだいぶいまいちだったが、裁判パートはおもしろかった。もしかすると、作者としては裁判パートの方が書きたかったのかもしれない。しかしラストの決めゼリフはそれしかなかったのか。なかったんだろうな。
     総じて『失楽園』の方が色褪せない魅力があるように思う。ある程度の年齢になって恋愛小説を書くのは大変そうだから、書くなら元気なうちに書こうと思った。

     ちなみに映画版の『失楽園』もNetflixでこっそり見てみた。森田芳光監督の作る映像の美しさと表現力が素晴らしくて、ストーリーは正直どうでもよくなるが、脚本も長編を要領よくまとめ、テーマを際立たせているのが見事だった。久木(役所広司)とその親友の衣川(寺尾聰)が一緒に飲むとき、お互いに似ているけれど少し違う食べ物を頼んで笑い合う、といった小さなオリジナルエピソードもグッとくる。
     映画では、久木の娘の知佳(木村佳乃)が医療関係の仕事(おそらくは医師)をしているように見える。原作では知佳は専業主婦なので、これは映画オリジナルの設定だ。久木が凛子と死出の旅に出る前、妻や知佳に別れを告げ、知佳が「行かないで」とすがるシーンが原作にもあるが、知佳の職業を頭に置いて見ると、映画でのこのシーンは、知佳が久木の死を察して必死で止めているようにも受け取れて、切なさが五割増しになる。
     ラブシーンは最初はどきどきして見たけど、何度も見ているうちに、飽きはしないものの「なるほど……」という気持ちになってくる。確かにこういう気持ちにしかならなくなったら、死ぬほかないかも。黒木瞳さんがべらぼうに可愛らしくて美しかった。
     

    References
    1「月曜日のたわわ」全面広告が日本経済新聞に「不安を吹き飛ばし、元気になってもらうため」(コメントあり)
    2広告単体で見る分にはわたしは特に問題は感じなかったものの(原作は好きではないけど数話読んだことがある程度)、ヤンマガ編集部が出したコメント「4月4日は今年の新入社員が最初に迎える月曜日です。不安を吹き飛ばし、元気になってもらうために全面広告を出しました」と組み合わせると、とたんに残念なメッセージ性を帯びてきてしまうなと思った。大人が「元気に」なるための手段として制服姿の少女を使うというのは、子供の前で大人が発するメッセージとして決して好ましいものではない。初めて制服で電車通学する新入生たちは、不安を吹き飛ばすどころの話ではなくなる。
  • 蝶花楼桃花(ちょうかろうももか)師匠真打昇進お披露目

    3月29日に、鈴本演芸場夜席に行ってきた。春風亭ぴっかり⭐︎改め蝶花楼桃花師匠お披露目!

    もぎりを抜けたら、年配の男性が「口上のときなどに、ぜひ、こうやって(身振り)振ってあげてください」とにこにこしながら桃花師匠応援タオルをくださった。わたしも「ありがとうございます。おめでとうございます」とにこにこ。愛され師匠だー。(以下、皆さん敬称は「さん」で失礼します)

    一花さん「出来心(花色木綿)」(始まったところで入場して申し訳なかったけど、明るくて楽しかった)
    仙志郎・仙成さんの見事な大神楽。
    桃花さんの兄弟子、玉の輔さんの「財前五郎」(漫談たっぷり)。
    文菊さん「熊の皮」(時折はさまる低い大きな声の迫力好き)。
    めおと楽団ジキジキさんの華やか実力音曲漫才(私たちはご祝儀出すばっかり、はそりゃそうか、となった)。
    馬風さん「楽屋外伝」(馬風さんのときだけ、客席の大きいお姉様方がぱっと華やぐんだよなあ。あの世代特異的に伝わるフェロモンか何かありそう)。
    桃花さんの師匠、小朝さん「池田屋」(文治さんの源平盛衰記とかもそうだけど、どう頭を切り替えたら漫談(?)部分と本筋をあんなにパッパと行き来できるんだ)。
    圓歌さん「お父さんのハンディ」(ゴルフさっぱりわからないけど笑ってしまう)。
    橘之助さんの浮世節(目を合わせて歌っていただけると、もう完全に惚れてしまう。好き)。
    三三さん「たけのこ」(新真打すくすく育て、の思いもこもっているのかな)。

    お仲入りの間、番頭の林家扇さんが、身振りだけで応援タオルの使い方を客席にレクチャーされてたの楽しかった。

    そして披露口上。圓歌さんが、桃花さんの「たちきり」は、志ん朝さんを100としたら120だ、と褒めてらして、ウンウンとうなずく客席。師匠の小朝さんはセクハラ発言連発で、そうでも言ってないと泣いちゃうんだろうなあとは理解できたものの、聞いてる方はちょっとつらかった。三本締めの発声は市馬さん……と思いきや、思いきり乗り出した馬風さんが「ご指名をいただきましたので」と爆笑をとりつつ愉快に締められた。

    舞台を整えて小猫さんのものまね(猫八襲名おめでとうございます! やっぱりあの片足上げるやつがないとちゃんと音が出ないものかしら)。
    市馬さん「長屋の花見」(春らしくのんびり楽しく、いつもながらあたたかい。大好き)。
    正楽さん紙切り(久しぶりに満席のお客さんを見るから緊張する……とおっしゃってた。あれ、パンダ、パンダ、どうやって切るんだっけな、と客席をはらはらさせつつ、できあがりは見事なふたごパンダでした)。

    そしていよいよ桃花さん。「はじめまして! 蝶花楼桃花、師匠、でーっす!」と元気にご登場。客席からは一斉に掛け声。
    「待ってました!」(わかる)
    「たっぷり!」(わかる)
    「かわいい!」(寄席ではまず聞かないけどわかる)
    演目は、小朝さん譲りの「天下一浮かれの屑より」。この披露目大初日からネタおろしとのことでチャレンジ精神が素晴らしい。新内あり、踊りあり、の大きな音曲噺。とにかく若旦那がかわいらしかったし、三味線もお歌も人形振も素敵でした。これからどんどん磨かれてもっと楽しく、見事になっていくのだろうと思います。おめでとうございます!

  • 柳家さん花さんの会

     下北沢「劇」小劇場で。「古典粒選」第2回。
     さん喬一門箱推しだけど、ちょっと(だいぶ)えこひいきしてるのが小んぶさん改めさん花師匠で、「らくだ」を通しでやってくださるというので飛んでった。

     さんざん笑ったマクラが後々しっかり伏線になっててびっくりした。
     初天神、「ねだらない」金坊と、その金ちゃんにお銭を恵んでもらいながら買い物するお父さんの組み合わせが楽しい。お父さんが金ちゃん大好きなのが伝わって、じんわりあったかくなる。
     安兵衛狐、さん花さんの安兵衛狐好きなので嬉しかった。この後のらくだワールドへの導入っぽさもあるのかな。
     お仲入りはさんでいよいよネタおろしのらくだ(通しとしては初めて、ということかな)。出囃子はカンカンノウ。たっぷり楽しかった。おっきい体と声の迫力と、生き生きとわかりやすい人物の演じ分けと、屑屋さんの性格が豹変していく繊細な表現がめちゃくちゃハマってるから当たりそう。いつも思うけど口跡がほんとうに気持ちいい。

     これで年度末の激務を乗り切れそう。ありがとうございました。

  • ポンペイ展

    東博のポンペイ展に行ってきた(五七五)。
    子供と行ったのだけど、てんでに好きなように見て歩き、適当に待ち合わせるスタイル。博物館はこれができる相手と行くのがいちばんいい。

    まさしくメメント・モリで、常に死を意識しながら見る人々の生活の跡は、目の前の現実よりもなお生に溢れて映る。
    豪邸でもアトリウムくらいまでは比較的自由に人が出入りできたとか、階層(階級)の移動が比較的自由だったとか、女性の実業家や富豪もいたとか。全き楽園だったはずはないにせよ、そこを、その時代を訪れてみたいと思わせるに十分な輝きの片鱗が見えた。
    小野友樹さんと小野賢章さんの掛け合いで進む音声ガイドも楽しかった。

    グッズはどれも欲しくなっちゃって困ったけど、トートバッグとピアスと図録を買った。

    パンを買うファウヌス(トートバッグ表)
    パンを買って踊りながら帰るファウヌス(トートバッグ裏)
    炭化したパンのピアス(背景は図録)

    お昼食べて、子供はまだ見たいものがあるというので、わたしは先に帰って付記試験の勉強。
    リングフィットとフィットボクシングもがんばりました。

  • 2022/01/23

    朝は焼きたてクロワッサン。買った冷凍生地を軽く解凍してオーブンで焼くだけでさくさくふわふわの幸せが口いっぱいに。

    だいたい勉強してたのでわたしの昼は豆腐丼、家族は適当に(ごめんね)。
    夜は鶏胸肉と千切りキャベツと千切りにんじんで鍋しゃぶ。

    子供が、オペラ座の怪人ロンドン25周年記念公演DVDをTSUTAYAで借りてきたのを一緒に見た。めちゃくちゃよかった。これ見ちゃうと映画版見れなくなっちゃうな。学校の音楽の先生レコメンドの円盤だそうで、さすが。
    しかしカテコ後のレジェンド揃い踏みサラ・ブライトマンNTR茶番はなんだったのか(エモいにはエモかった)。

    リングフィットも地味に続けていて、今日は15分25秒。

  • 三連休の終わり

     昨日の話。

     昨日は一日『ミチクサ先生』(伊集院静)を読んでのんびり。

     最近はわりと一般的になってきたかもしれない、明るくユーモラスな漱石像に基づく伝記的小説。だからこそ、晩年の壮絶な闘病生活がより痛ましく、つらく胸に迫ってくるのだが。
     ノボさん(正岡子規)や鏡子さんなど、漱石を取り巻く人たちへのまなざしも温かく、気持ちよく読めた。
     タイトルの「ミチクサ」は、もちろん『道草』でもあるし、この作品における漱石の生き方にも由来する。

    あの築山のてっぺんに登るのに、真っ直ぐ頂上を目指す者もいれば、裏の方から這い上がる者もいるだろうし、まったく違った径から登る者もいる。径の間違いで滑り落ちる者もいるだろうが、落ちることはたいしたことではない。

     昨日の夜は、映画『アメリ』を見た。子供ももう15歳なので一緒に。