昨日付で、実に2ヶ月半にわたった緊急事態宣言が解除された。
首都圏でも全国的にも感染者数やRtが増加しているタイミングでの解除ではあるけれど、このまま漫然と宣言を続けていても顕著な効果は見込めない以上、少し病床数に余裕が出てきた今、いったん解除して一息入れて、また仕切りなおそうということなのだろう。
2度目の緊急事態宣言、効果はあったの? このタイミングで解除して大丈夫? 専門家に聞きました。
新型コロナ対策もこれと同じで、いったん目標のところまで達したなら、ちょっと息を継いで、その間、次の作戦を考えましょうということも必要ではないかと思います。
人は次々と対策を続けていると、辟易してくるものですよね。子育てなどでも同じですが、どこかで褒めたり、休んだりして、次に備える時間がなければいけない。粘り強さも大切で、そのための息継ぎは作ったほうがいいだろうという思いです。
今回の菅総理のメッセージもわりとわかりやすかった。
令和3年3月18日 新型コロナウイルス感染症に関する菅内閣総理大臣記者会見 | 令和3年 | 総理の演説・記者会見など | ニュース | 首相官邸ホームページ
飲食の場面での感染防止が重要であること、次の感染拡大の可能性があること、戦略的な検査拡大の重要性(無症状者のモニタリング検査、高齢者施設等を対象とした集中的・定期的な検査)をしっかり伝えている。
わたしはわりと自民党政権には批判的な立場ではあるけど、政府のコミュニケーションはだんだんよくなっているように思う。ちゃんと聞きさえすればの話だが。あいかわらずおかしいのは、五輪関連とGo To関連くらいなのでは。
もっとも、「会食はできるだけ家族で」はわかるが、「又は4人以内で」「大人数での会食についてはお控えいただく」は、ちょっとわからない。人数が少なくてもマスク無し会食には感染拡大の危険性が十分ある。一度の会食人数を減らせば、認定される「クラスター」の数は減るかもしれないが、感染の機会が減るわけではない。
休日のカフェ等を覗けばわかるが、4人以内でマスクを外したままずっと会話しているグループはものすごく多い。
先日、大阪の吉村知事が「マスク会食大阪バージョン」をアピールして不評を買っていたけれど、わたしはこれ、そうバカにしたものでもないと思う。今のこの状況では、やらないよりは全然ましだし、少しでもやりやすい方法で飛沫防止対策が定着するに越したことはないはずだ。
そもそも、去年の初め頃は、科学者たちの間でさえマスクに効果はあるかないか、みたいな議論があったが、今はマスクの有用性・必要性に異を唱える人は(たとえば熱狂的なトランプ元大統領支持者とかでもない限り)まずいないだろう。マスク会食がニュースタンダードになってもそうおかしくはない。
なんとか、次の感染拡大の波を少しでも遅らせることができるようにしたい。
以下はメモ。今回の緊急事態宣言解除へ向けた議論の混乱の記録である。
〈独自〉政府、21日で緊急事態宣言解除へ 1都3県(産経新聞) – Yahoo!ニュース
政府や専門家の間では、現在の対策ではこれ以上の改善は見込めないとの見方が強い。関係閣僚の一人は「宣言はもう効かない。早く解除するしかない」と語る。厚生労働省に助言する専門家組織が11日に行った非公式の会合では、主要メンバーから「もう打つ手がない」との意見が出たという。
尾身氏訴え「感染再増加には原因ある。今のやり方では解除でも延長でも解決せず」菅首相はステージ改善強調
その上で尾身氏は「クラスターが今、以前よりかなり多様化しているというのが我々の判断だ。以前は食を介しての接待をともなう飲食店中心だったが、今はいろんな職場、いろんな見えないところで起きている可能性が極めて高い。そのことを放置したままに、ただ延長あるいは解除したとしても本質的な解決にならないと思うので、しっかりした現状把握、検査、調査が非常に重要だ」と強調した。
宣言解除、専門家の反対はゼロ 尾身会長も驚いた議論 [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
「ほぼ全員が、解除は今回致し方ないが、リバウンド(感染再拡大)が起こる可能性が極めて大きいので、強い対策を国、自治体に取ってほしいという気持ちが非常にクリアだった」