『松本清張の女たち』 (酒井順子)読んだ

 Mastodonで吉川浩満さんが紹介されていて、こんなの絶対おもしろいに決まってる! と思って即買いした。

 

 『松本清張の女たち』 酒井順子 | 新潮社

 松本清張といえば、色とりどりの女性主人公が魅力的な作品が数多くあるが、酒井順子は、たとえば主婦向けの「婦人倶楽部」、働く女性向けの「女性自身」、社会派の「婦人公論」など、掲載誌の性質によって女性主人公のキャラクターや生き方が描き分けられていることを看破した。

 そして、膨大な清張作品を縦横無尽に読み込み、「実は清張は、推理小説界において男女の機会均等実現に挑戦した人なのではないか。だからこそその作品は、男女を問わず人気を博したのではないか」という仮説の検証に挑んでいる。おもしろくないわけがない。

 清張作品はそれなりに読んできたつもりだったが、知らない作品もたくさんあった。「あれもこれも今すぐ読みたい!」という気持ちにさせられるブックガイドとしても秀逸だと思う。

 あまり関係ないのだが、酒井さんは「……のであり、」という接続が好きなのだなあということに初めて気づいた(93箇所あった)。カイジシリーズの「とどのつまり」のようなものかもしれない。

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