女性向けの小説や漫画には、お約束のような独特の表現がいくつかあって気になっていた、そのまとめ。用例は桃太郎の改変で。
(1)「~すれば」
できごとや動作のつながりを表現しようとする場合、「~すると」でつなげることが多いと思うが、それを避けるためなのか、「~すれば」が用いられることが多い。
例:「おばあさんが川で洗濯をしていれば、川上から大きな桃が、どんぶらこ、どんぶらこ、と流れてきました。」
「おじいさんが桃を切ろうとすれば、玉のような男の子が、おぎゃあ、おぎゃあと産声を上げて、元気に飛び出しました。」
あまり多用されると、ある種のレシピを読んでいるような気分になる(「茹であがればザルに上げて……」)。
(2)「強請る」
「ねだる」を「強請る」と漢字で書く。「強請る」は「ゆする」とも読み、むしろその方が多いのでややこしい。
例:「『鬼が島へ鬼征伐ですって? お一人で? お腰につけたきびだんごを下さればお供しますぜ』 犬は強請りました。」
「ゆする」と読まれてもいいのかもしれない。
(3)「触れる」
なぜか「触る(さわる)」は忌避され、「触れる」が多く用いられる。会話文でも「……触れていいか?」「もっとあなたに触れたい」などと使われるが、リアルな口語ではあまり使われないと思うのでくすぐったくなる。触覚だけに。
例:「『桃太郎、気をつけて行ってくるんだよ』 立派な支度をした桃太郎の頬に、おばあさんはそっと触れて言いました。」
この例は違和感がないからあんまりうまくないな。
(4)「激しい」
リアルな口語では多分使われないシリーズ第2弾。主に色っぽいシーンにしばしば登場する。
例:「『鬼め、どうだ、降参か』『も、桃太郎さん……っ! は、激し……っ!』