ホウレンソウを食べたポパイのスーパーパワーは、貧血が解消された人の実感を表しているんじゃないか。
と思ってしまう程度に、貧血治療のめざましい効果に感動している。
実は先週、血液検査の結果、貧血の数値があまりにもひどいとのことで、すぐ来なさいとお医者様に呼ばれ、鉄剤の点滴も受けてきた。
ヘモグロビンが6(正常値は11.5~15.0)、フェリチンが2(正常値は4.0~87.0)で、普通の人の半分以下の酸素でずっと活動していたらしい。なんてこと。
点滴してもらったお薬は「モノヴァー」といい、日本で製造販売承認されたのは比較的最近(2022年)のようだ。
鉄とデルイソマルトースの複合体(デルイソマルトース第二鉄)を血中に投与し、複合体ごと細胞に鉄を届けて、細胞内で無害な鉄の形にする、というしくみ。毒性の高い遊離鉄の発生が抑えられるので、一度に高い用量の鉄を投与できる。
このバイオアベイラビリティの高そうな薬で、私の場合、500 mgの鉄をいっぺんに投与してもらった。ちまちま経口で鉄剤を摂取するより効くのは当然で、継続して動いていられる時間が一気に伸びた(ただし投与二日後に38.5℃の発熱があった。解熱剤飲んで寝たらすぐ下がったが)。
開発したファーマコスモス社の特許を調べてみると、関連しそうなのはこのあたりかな。
特許第5426010号(特許権存続中。存続期間の延長登録あり)
「安定な鉄オリゴ糖化合物」
特許第4558198号(特許権の存続期間満了)
「鉄欠乏症の予防または治療のための治療組成物の成分として用いる鉄-デキストラン化合物、および前記鉄-デキストラン化合物の製造法」
点滴の鉄剤としては、2019年に製造販売承認された「フェインジェクト」というお薬もある。
こちらは、鉄とカルボキシマルトースの複合体(カルボキシマルトース第二鉄)。開発したビフォー社の特許で関連しそうなのはこのあたりだろうか。
特許第4777653号(特許権存続中。存続期間の延長登録あり)
「水溶性鉄-炭水化物複合体、その製法、及びそれを含有する薬剤」
特許第5225289号(特許権存続中)
「鉄-炭水化物錯体化合物」
特許第5289413号(特許権存続中。存続期間の延長登録あり)
「水溶性鉄-炭水化物複合体、その製法、及びそれを含有する薬剤」
特許第5259700号(年金不納による特許権消滅)
「水溶性鉄-炭水化物誘導体錯体、それらの製造、及びそれらを含有している医薬品」
特許第5060312号(年金不納による特許権消滅)
「鉄(III)錯化合物の用途」
「フェインジェクト」も「モノヴァー」も、鉄と糖の複合体なのだが、「フェインジェクト」は糖がカルボキシマルトースであり、「モノヴァー」は糖がデルイソマルトースであるという大きな違いがある。
鉄と糖の複合体を含む静注用鉄剤としては、以前からデキストラン鉄と呼ばれるものがあったらしい。ただし、デキストランにはアナフィラキシー反応などのリスクがあったことから、それを解決するために、 「フェインジェクト」と「モノヴァー」はそれぞれ違うアプローチを取った(前者はデキストラン不含有とし、後者は低分子量オリゴ糖のデキストランを用いた)という理解。
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