ナイロン100℃『イモンドの勝負』

なんて目がチカチカする配色

見てきた。3時間20分がまったく長く感じないジェットコースター舞台(ときどきコーヒーカップあり)。
プロジェクションマッピングを駆使した映像美術がめちゃくちゃかっこよかった。ハイキュー!! 舞台の映像担当された方らしい。

あえて分類するならナンセンスコメディなんだろうけど、手放しで笑っていいのかどうか悩むストーリーとネタが随所にふんだんに挟まれる。でもだんだん悩むのをあきらめて、みんなうっかり手を放して笑ってしまうのだ。
不条理な世界の中に切なさとなつかしさもあって、どこか「たま」の歌のような雰囲気もある。
とにかく役者の皆さんが実力派揃いなので、ナンセンスをそのまま受け取って楽しめる。作品から正当に受け取るべきストレス以外にストレスがない。

なぜフィクションでナンセンスを欲するのか。それはいま、現実に生きている世界に実在するあれやこれやのナンセンスと、どうにかして向き合ったり、向き合わずに適当な箱に押し込んだりする術を見つけたいからなんじゃないか。ナンセンスに苦しめられたり、これをナンセンスだと思うのはわたしだけなのかと悩んだり、そういった種々のもやもやを、それそのものではなくても、なにかしらの形にしたものを見てみたいと思うからなんじゃないか。
だとすれば、まさしく今日、わたしはそれを見ることができた。

客席の雰囲気もとてもよかった。
一幕冒頭から肩慣らし的に、30秒に1回笑わせにきてくれていたが、二幕に入った途端、観客が見せた本気がすごかった。休憩(たった15分!)の間に、お連れさまがいる方は互いに、おひとりさまは自分の中で、世界観を反芻・整理して覚悟を決めたのだろうか。舞台と客席が完全に一つの空気を作っていたと思う。

演劇から欲しかったものをぜんぶ摂取できた気がする。大満足。

今回、子供は定期テスト期間中につき、申し訳ないがわたし一人で見に行かせてもらった。帰宅して、話をしながら見せたパンフレットが、子供の琴線のどこかに触れたのか、ずっと読んでいる。忘れた頃に届くだろうDVDを楽しみにしてもらいたい。
セリフぜんぶ書き起こしてみたいな(もちろん自分だけのために)。言葉のおもしろさももちろんだけど、じっくり見直して時系列などを構成し直したら、実はかなり緻密な設定であることがわかりそうな気がしている。