佐々木望『声優、東大に行く』

 言わずと知れた大人気声優の佐々木望さん。が、お仕事を続けながら東大に入学し、法学部を卒業されたという(しかも成績優秀者の表彰も受けて[1]東大Days公開記念! 佐々木望 Specialインタビュー第1回|佐々木望の東大Days〜声優・佐々木望が東京大学で学んだ日々〜)。
 その合格体験記なんて絶対気になるでしょ! 

 何はさておき多方面に溢れ出る好奇心と、それを追い続ける体力(知的体力も含めて)がすごい。それさえあれば、勉強術なんてどうとでもチューニングできるという、本当に典型的な東大生でいらっしゃった。
 
 受験のことだけでいえば、もともと英語がとてもよくできるから英語の勉強には時間をかけずに済み、数学もお好きだったらしい。これは強い。
 その他の科目は、過去問から逆算しつつ、教科書と参考書で基礎をしっかり学んでいき、予備校の短期講習も活用し、模試を受けまくって実戦演習を積む、という正攻法中の正攻法。なんだけど、わかっていてもこれを一人でやり遂げるのが難しいんだよなー。
 何をすべきで何をすべきでないかの判断や修正が客観的にできるのは、経験を積んだ社会人ならではの見通しがあってこそという面もあるだろうけど、とにかく学ぶことが好きで楽しくてしかたないから、勝手にどんどん学んでしまうというのが最強だと思った。

 「勉強スタイルは『自主・自由』」
 「いつも気持ちよく勉強できるように、適宜、自分を甘やかしてあげることが大切」
 などなど、ぶんぶんうなずきたくなるフレーズがたくさん。
 科目ごとの具体的な勉強法もおもしろいので、社会人学生や資格取得を目指す方はぜひ。

 とはいえ、本書の最大の魅力は、社会的には完成されている(と他人からはみなされる)大人が、なお新たな知識や経験を追い求めて自己の人格形成に挑む、そのプロセス自体を楽しむ、という佐々木さんご自身の姿だ。入学後の章「東大法学部で学んだこと 知識と経験が結晶化する」は必読。

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