生理の貧困とか

 ここ数日、いわゆる「生理の貧困」が立て続けにネットで話題になっていた。
 「生理の貧困」を調査 学生の約2割“生理用品 買うのに苦労” | 新型コロナ 経済影響 | NHKニュース 
 ナプキン買えず授業を欠席…生理用品を無料で提供。「生理の貧困」対策、海外で相次ぐ【国際女性デー】 | ハフポスト
 いろいろな問題が複雑に絡み合っているとはいえ、すぐにできそうな対策としては、学校(小学校から大学まで)で生理用品が無償で利用できるような体制の整備と、生理用品への軽減税率適用あたりか。月経は明らかに女性のみに課されたハンデなので、それを軽減するための福祉という議論で整理ができると思う。
 低用量ピルやミレーナ等、月経を楽にしたりコントロールしやすくする手段へのアクセスも改善できるといいけど、これはもうすこし時間がかかるかも。

 月経についての意識や捉え方は、女性たちの間だけでも千差万別で、ましてや女性の話から判断するしかない男性の間では、さらにまちまちだろうと思う。そのことが、月経にまつわる議論をさらに困難にしているような気がする。

 月経をおおらかに「ちょっと面倒だけど、大事な自分の体のために何とかつきあっていかないといけない現象」くらいに捉えられている女性たちは幸せと言っていい。
 月経が軽いか、重いか。
 月経を初めとする女性の身体現象について肯定的に捉えられているか、そうでないか。
 親しい人が自分の身体を肯定してくれているか、そうでないか。
 これらの条件が、たったひとつでも自分と異なれば、その相手とわかりあうことはなかなか難しくなる。

 「生理用品なんて生活必需品なんだから、ほかの贅沢を少し我慢してでも買うでしょう」と思える人は、生理用品で自分の身体をケアすることは当たり前だ、と思えている人だ。
 せっぱつまった人は自分の身体のケアが疎かになりがちだし、社会生活をぎりぎりなんとかするために、他人から見れば贅沢品と思われそうなものへの出費を、生理用品より優先することだってある。
 そうやって自分の身体を蔑ろにすることに慣れてしまうと、たとえ外形的な貧困が解消されたとしても、自分の身体をケアするための出費はずっと抑えられたままになってしまう可能性がかなり高い。
 あえて「『生理の』貧困」と強調しなければいけないのは、自分の身体を蔑ろにすることに慣れてしまった女性たちのための特別な対処が必要な問題だからなのだ、と私は考えている[1] … Continue reading
 だからこそ、まずは女性たちが幼いうちに、必ず過ごすことになる学校という場所で、生理用品をふんだんに使って、これで自分の身体をケアするのは当たり前のことなのだ、と思えるようにすることが大切なのだと思う。

References
1男女問わず、困窮すると食事や衛生上のセルフケアが蔑ろにされがちなのは確かで、それに加えて、女性の場合は月経の問題にも目を向けなければいけない、という話である。
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