東京はこのところ、新規陽性確認数が前週比で減少を続けていて(29日時点の7日間移動平均が3784.0人)、陽性率も少しずつ下がってきた(27日時点で19.4%)。お盆や夏休みで、東京では人と人との接触が少し減っていたことが反映されているのかもしれない。
しかし、発熱相談センターの相談件数は3000件前後で飽和したままだし、夏休みも終わって新学期が始まった。あっというまにまた増加に転じる危険性は常にある。重症者数は東京でも全国でも過去最多を更新し続けているし、東京以外の地域(大阪や、愛知、沖縄、群馬、青森など)ではここ2、3日中に新規陽性確認数が過去最多となっている。まだまだ安心できる状況からはほど遠いようだ。
ワクチンを2回接種できた人は4割を超えたようなので、今後、重症化する人の数が減っていくことを期待したいが、それはもう少し先のことになるだろう。とにかく感染者数を減らさないことには、救える命も救えない状況が続いてしまう。新たな変異株が生まれるかもしれない状況であることも心配だ。
今はなし崩しに、この感染症で苦しみ、亡くなる人が出ることを許容している(させられている)が、そのことを認識している市民はどれだけいるだろうか。自分に直接関係のない人の健康や命はある程度犠牲になってもしかたがないと考えることは、この状況下では、他人の健康や命をある程度犠牲にすることを自ら選択したことと同義だ。ともすればそのことに無自覚になってしまいそうになることが、わたしはとてもおそろしい。
「With コロナ」は口当たりのいい言葉ではある。しかし、このウイルスがまったく弱毒化の気配を見せておらず、今後も弱毒化する見込みが高いとは言えない状況での「with コロナ」には、他人の健康や命をある程度犠牲にすることを許容し続ける決断が常に含まれている。そのことに心を麻痺させてしまうのが怖い。
ゼロコロナを目指すと言うとSNSではバカにされがちだが、「目指す」気持ちだけは失わないようにしたい。